クラシックギターの音の魅力は、左手ではなく「右手」で決まる――
そう言われるほど、右手の使い方は演奏の表現力を左右します。
初心者のうちは、どうしてもコードチェンジや左手の運指に意識が向きがちですが、
本当に美しい音色を作るためには、右手のフォームとタッチの練習が欠かせません。
この記事では、ギターを弾く際の右手にフォーカスし、以下3つのポイントを初心者でも弾ける練習曲を具体的に紹介していきます。
- なぜ右手が重要なのか
- どんな練習をすれば上達するのか
- 初心者でも続けやすい練習の進め方
クラシックギターを弾いていなくたって、指弾きを目指す全てのギター演奏者へ向けて参考になれば幸いです。
なぜ右手の練習が重要なのか
クラシックギターは「音を作る手(右手)」と「音を選ぶ手(左手)」に分かれています。
左手が音程を決めるのに対して、右手はその“音の質”を生み出します。
初心者でも上級者でも同じ音を弾いたとしても、各ポイントによって温かく柔らかい音にも、硬く明るい音にも変化します。
- 弦に当てる角度
- 弾くスピード
- 指の力加減
- 爪の形や当たり方
つまり、ギターを弾く右手はまるで「声の表情」を作るようなもの。
力任せに弾くよりも、どれだけ“指先のコントロール”ができるかが、美しい音色のカギになるのです。
右手の基本構成|p・i・m・aとは?

クラシックギターでは、右手の各指にスペイン語の略記を使います。
| 指 | 記号 | 主な役割 | 練習ポイント |
|---|---|---|---|
| 親指 | p (pulgar) | ベース音、リズムの支え | 低音の安定をつくる |
| 人差し指 | i (índice) | メロディや分散和音 | リズムの正確さを養う |
| 中指 | m (medio) | メロディの補助、表現の幅 | 柔らかく“歌う”音を作る |
| 薬指 | a (anular) | 高音やアルペジオの装飾音 | 繊細な高音を磨く |
それぞれの指には役割があり、独立して鍛えることで音の安定感と表現力が格段に上がります。
ギター初心者の段階で練習、各指の役割を理解をしておくことが非常に重要です。
右手の基本フォームと当て方のポイント

クラシックギターの基本姿勢で、右手は常に“自然なカーブ”を保つことが大切です。
手のひらを軽く卵を包むように丸め、弦に対して指がやや斜めに触れるように構えます。
初心者用教則本でもお馴染みのフォームになりますが、脱力して構えてみましょう。
初心者のうちは特に注意するポイント
- 手首を固めない
力が入ると音が詰まる原因になります。 - 親指は前へ、人差し指~薬指は内側へ
弦を「引っかく」よりも「押し出す」感覚を大事にしましょう。 - 爪の角度を意識する
爪が弦をなめらかに滑るように調整すると、音の雑味が減ります。
最初は鏡を見ながら、フォームが崩れていないかを確認すると効果的ですよ。
右手を鍛える4つの基本アプローチ
右手の指はそれぞれ役割が異なります。
どの指をどう使うかを意識することで、音の安定感と表現の幅が一気に広がります。
初心者でも演奏できる右手それぞれを使った練習曲を交えて役割の確認をしていきましょう。
① 親指の練習:低音の安定をつくる
親指(p)は、ギターの“ベース”を支える役割です。
右手の中でも特に音の重心を決めるため、まずはここを鍛えることが最優先です。
- 弦に対してやや斜めに当てる
- 手首を柔らかく、スナップを使って弾く
- 弦を弾いたあと、指が隣の弦に軽く触れる「アポヤンド奏法」を試す
練習例
YouTubeなどでは「親指 練習曲」や「thumb exercise for classical guitar」で検索すると、
短いエチュード形式の動画が多く見つかります。
低音弦だけを使ったウォーミングアップとしてもおすすめです。
② 人差し指の練習:リズムの正確さを養う
人差し指(i)は、スケールや分散和音などで最も多用される指です。
動きが速くなると音がバラつきやすいため、リズムの正確さとタッチの均一性を意識します。
- メトロノームに合わせて、1弦を「p–i–p–i」と交互に弾く
- 音の強弱が一定か耳でチェックする
- 指の第一関節が過度に動かないように意識する
演奏のコツ
弦を「弾く」よりも「スライドさせる」意識を持つと、音が滑らか、スピーディになります。
③ 中指の練習:柔らかく“歌う”音を作る
中指(m)は、メロディを歌わせるために欠かせない指です。
力を抜いた指先のコントロールができると、音に温かみが出てきます。
アポヤンド奏法を取り入れるとさらに表現力が倍増しますよ♪
- 弾いたあと、指をすぐ離さず、音の余韻を聴く
- 強く弾きすぎ、音に雑音が入らないようないように注意する
- メロディラインをイメージしながらゆっくり弾く
おすすめの初心者向け練習曲例
「癒し系のミニエチュード」など、テンポが遅めの練習曲が最適です。
音を聴く集中力を養うことで、右手全体のタッチが安定していきます。
④ 薬指の練習:繊細な高音を磨く
初心者のうちは特に、薬指(a)は最もコントロールが難しい指です。
しかし、繊細な高音やアルペジオでの輝きを担う重要な役割を持っています。
- 無理に動かそうとせず、手全体のバランスを感じながら動かす
- 他の指(i・m)と連携して練習する
- 弦の表面を“撫でる”ように当てると音が柔らかくなる
初心者向け練習例
p–i–m–a の順に弾くアルペジオ練習をゆっくり行いましょう。
最初は「p–i–m–a」を1回弾いたら一呼吸おいて、手の力を抜く。
この繰り返しだけでも、右手全体の独立性が高まります。
右手の練習を続けるコツ
右手のフォームやタッチは、短期間で劇的に変わるものではありません。
初心者でも上級者でも、いつまでたっても大切なのは「毎日少しずつ」「音を聴くことに集中する」こと。
以下のような習慣を意識してみましょう。
- 練習の最初に必ず右手だけのウォームアップを入れる
- 録音して、自分の音を客観的に聴く
- それぞれの指で「どんな音を出したいか」を明確にイメージする
ギターを弾くこと=音を作ることです。
機械的に練習するのではなく、「自分の音」を探す時間として取り組むと、どんな簡単な練習曲でも音の質がどんどん変わっていきます。
練習曲・楽譜について(参考)
本記事で紹介した初心者向け右手練習は、すべて短いエチュード(練習曲)形式で実践できます。
もしもう一歩進めたい方は、有償版のPDF楽譜(Noteなどで販売中)を参考にしてみてください。
1曲1分程度の小品ながら、右手のタッチを集中して鍛える構成になっています。
初心者の方でも解説&実演付きで「音の違い」を実感できる内容なので、日々の練習に加えると効果的です。
どのショップも同じ楽譜です | All same sheet music
まとめ|右手を磨けば、ギターはもっと歌う
右手のフォームとタッチは、クラシックギターの“声”そのもの。
上達の近道は、速弾きでも難曲でもなく、
一本の指、一つの音に耳を傾ける練習にあります。
- 音を“出す”よりも“鳴らす”意識を持つ
- 指ごとに役割と癖を理解する
- 毎日少しずつ右手に時間をかける
焦らず、ゆっくりと練習することを心がけて。
右手の感覚が変わった瞬間、あなたのギターはきっと別の楽器のように響きはじめるでしょう。
そしてなにより演奏が楽しく、たくさんの表現ができるようになる事の喜びを感じることができます!
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